CAPTAIN'S
REMINISCENCES

キャプテンの思い出
令和4年卒
谷口 宗太郎

最狂の誇り

最狂の誇り

 私が最後の1年間、自らと周囲に求め続けたことは、「個人が自律し、チームのためを考え、体を張り、相手を圧倒すること」でした。筋力、持久力、スキル、ラグビーの理解度、コミュニケーション能力に加え、プライドや普段の振る舞い、掃除や準備の徹底といった要素まで、個々があらゆる面で成長し続けることを重視しました。そして、その成長した個々が結集することで、相手を徹底的に打ち負かし、圧倒するチームを目指しました。特に同期にはSH糸瀬、CTB大内田、FB福島など、世代トップクラスのタレントが揃っていたこともあり、筑紫を圧倒することを絶対目標としました。

 そこで掲げたスローガンは「最狂」。これは2014年度のチームのスローガンを拝借したものです。当時のチームの様子がYouTubeにアップされており、何度も見返しました。私はこの言葉を修猷館のDNAを象徴するものだと考えています。小柄な体でも120%の力で狂ったように接点を破壊しに行くことで、相手の戦術を狂わせ、勝利を手中に収めていた姿が強く印象に残っています。だからこそ、「強い個人」と「最狂」の精神が掛け合わされることで、「圧倒」につながると考えました。

 また、主将として意識していたことは、「先生よりも先にミスや違和感に気づき、指摘すること」でした。チーム発足当初は、眞鍋先生から練習方法やチームの雰囲気など、あらゆる面で厳しい指摘を受けていました。今ではその指導に感謝していますが、当時はラグビーが嫌になることも多々ありました。そこで、「先生を怒らせなければいい」と考え、自らが先に問題点に気づき、指摘やフィードバックを行うことを決意しました。仲間からの指摘を時には煩わしく感じる人もいたかもしれませんが、次第にチーム全体の意識は向上していきました。

 そして迎えた準決勝の筑紫戦。初戦で怪我した私に加え、同期の瓜生や福島も欠く難しい状況でしたが、試合前から負ける気はまったくありませんでした。これまでの仲間の努力を間近で見てきたからこそ、自信を持って試合に臨むことができ、不安よりもワクワクする気持ちが勝っていました。結果は31-12で勝利し、前年のスコアをほぼ逆転させる形となりました。試合後、ロッカーで仲間と馬鹿騒ぎした時間は一生の思い出であり、最後まで戦い抜いてくれた仲間には感謝しかありません。

 決勝では0-80と東福岡に文字通り圧倒されました。しかし、この悔しさを糧に後輩たちが努力を重ねた結果、翌年には九州大会、さらには全国大会への出場を果たしてくれました。自分たちが築き上げてきたものが次の世代へと受け継がれたことを、心から誇りに思います。

 最後になりましたが、修猷館ラグビー部の100周年、誠におめでとうございます。この3年間を通じて、さまざまな苦難や理不尽を経験しましたが、それらがあったからこそ、今の自分があると実感しています。

 現役時代にお世話になった眞鍋先生、渡邊先生、川嵜さん、岡本館長、陽さんの代、寛司さん・横光さんの代、隼成の代、庚之佑の代、そして何より、かけがえのない同期と青春をともに過ごせたことを、本当に嬉しく思います。一度グラウンドを離れると、部室で『Among Us』をしたり、色んな馬鹿やったり、夏は全員で海に行ったりと、数えきれない思い出でいっぱいです。今後も関係は続いていくと思いますが、あの“当たり前”だった日々がもう戻らないと思うと、やはり寂しさを感じます。

 後輩の皆さんも、勝利を追い求める中で、一生ものの仲間を手に入れてください。修猷館ラグビー部のさらなる発展と皆さんのご多幸を心より祈念し、私の寄稿といたします。