SHUYU
MOUNTAIN RANGE


入るきっかけ、辞めない理由
私が中学3年生、昭和62年の12月第一日曜日はものすごく寒かった。東京もかなり寒かったらしく、テレビに映るグラウンドは雪が積もっていた。今まで一回も「ラグビー」を見たことがないのにその日だけなぜかテレビでラグビーを見た、初めて見た。体が小さい方のチーム、背番号10の選手の出身校に(修猷館)と映っていたのを覚えている。
翌4月、テレビで見た背番号10の選手と同じ修猷館高校に運よく入学し、勢いラグビー部に入部してしまった。自分がラグビーのプレイヤーとして「心・技・体」のどれも持ち合わせていないことはすぐに思い知らされる。
「せめて体格だけでも」と思い、一日7食にした時期もあった。しかし、たくさん走らされたったせいなのか、高校時代ついに体重が70kgを超えることはなかった

こんな私が高校時代の練習を思い出せばつらいことや苦しいことが多く、砂まみれでのスクラムやモール・ラックの練習は誰がどう見たって苦行。グラウンドの西側、闘魂碑の向こうを道行く人はどんな目で私たちを見ていたのだろう。
それでも最後までラグビー部を辞めなかった。
思い返せばラグビー部を辞めなかったのは同期の友人たちがいてくれたおかげ。なんとかがんばることができたのは一緒に練習してきた友人たちがいたから、と言うしかない。そしてラグビー部を辞めなかったその結果、それなりの忍耐力はついた(と思う)。修猷館高校を卒業してから今日までの日々の中で「きついなあ」と思うことがあっても「ランパス練習よりはきつくない」と切り替えて、ピンチを乗り越えたこともしばしば。
これからもラグビーがつないでくれた不思議な偶然と継続の縁でラグビーと関わり続けていくことになりそうだし、それが生きていく上で何らかのエネルギーになるのは間違いなさそう。
私に修猷館ラグビー部に入るきっかけをくれたあの日の背番号10の先輩と、修猷館ラグビー部を辞めさせないでくれた同期の友人たちに感謝。